サナエノミクスのゆくえ

株高の熱狂と、その裏にある静かなリスク——


先日、自民党総裁選とマーケットの行方について投稿した。
あのとき「高市さんなら、株高・金利上昇・円安」と予想したが、
まさかここまで素直に反応するとは。

日経平均は3日連続の最高値更新。
市場は“サナエノミクス”に酔っている。
でも正直、ちょっと上がりすぎだ。
トランプ発言ひとつで冷や水を浴びかねない。

今はあえて静観。
買い場が来たときに動けるよう、
備えておく段階だと考えている。

サナエノミクスとは何か


「サナエノミクス」は、高市早苗氏が掲げる経済政策。
アベノミクスの延長線上にあるが、
インフレ進行や財政拡張、国際環境の変化など
“前提条件”はまったく違う。

過去の再演ではなく、時代に合わせた調整型。
ただしそのぶん、成果もリスクも大きい。

政策の骨格

【金融】

緩和継続、利上げ先送り
円安・株高の主因。

【財政】

拡張的政策、国債増発容認
景気優先。

【産業】

科学技術・エネルギー投資
政府主導で成長分野へ。

【地方】

税優遇・インフラ整備
中長期の柱。

【為替】

円安容認
輸出企業は追い風。

株高・円安の今の流れは、
金融・財政の“ダブル緩和”期待によるものだ。

期待できる効果

• 輸出企業の業績改善
 円安で海外収益増。特に製造業は恩恵大。
• 投資・設備投資の活性化
 政府主導の資金流入が呼び水に。
• マインド改善
 「政府が景気を支える」という安心感。
• デフレ脱却の可能性
 緩やかなインフレ誘導が成功すれば好循環。

短期的には悪くない風が吹いている。
ただし、好事魔多し。

リスクと逆風

• 物価上昇が賃金を上回る恐れ
 生活コスト増で消費が冷える。
• 財政拡大の限界
 国債市場の信認揺らぎ、金利急騰のリスク。
• 日銀とのねじれ
 独立性の低下は円売り要因にも。
• 期待先行バブル
 実行力に疑問が出た瞬間、急落もありうる。
• 外部ショック
 米金利・中東情勢など、外部要因の不安定さ。

相場は“信頼”で持ち上がり、“疑念”で崩れる。
その構造は昔から変わらない。

今後のシナリオ(コヨーテ見立て)

A:期待実現型


株価もう一段高。円安定着。景気も追随。

B:期待剥落型


株・円が反転。消費停滞、財政懸念再燃。

C:揺れ動くレンジ型


上下動を繰り返す調整局面。外部要因次第。

現時点では、この「C」に近い。
期待と不安の綱引き状態だと思う。

いま取るべき姿勢

• 全力で追わない。キャッシュ厚めに。
• エネルギー・防衛・AIなど、成長テーマをウォッチ。
• 為替変動や金利上昇リスクへの備えを。
• 政策の実行スピードを冷静に見極める。

要は「熱狂の中に冷静さを残せるか」。
それが今の投資家の腕の見せどころだと思う。

結びに


サナエノミクスは、アベノミクスの“再演”ではなく“賭け”だ。
成功すれば経済構造が変わる。
失敗すれば、また財政リスクの悪夢が蘇る。

私はいま、上がるチャートよりも
「下げた時に何を拾うか」に関心がある。
市場が静まったとき、
本当のチャンスは顔を出す。



※本稿は、あくまでコヨーテ個人の見立て・意見に基づくものであり、
投資判断を推奨するものではありません

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