
こんにちは、コヨーテです。
10月12日は、伝説的ソウルデュオ「Sam & Dave」のサム・ムーア(Sam Moore/1935年生)の誕生日。
いま聴いてもまったく色褪せない──そう言える数少ないアーティストのひとりです。
ダブル・ダイナマイトの誕生
1960年代、アメリカ南部のメンフィス。
サム・ムーアとデイヴ・プリターの2人が出会い、「Sam & Dave」として活動を始めたのは1961年。ほどなくしてStaxレーベルと契約し、ブッカーT.&ザ・MG’sやメンフィス・ホーンズらの鉄壁バンドのサポートで、ソウル史に残る名曲を次々と放ちました。
2人のステージは「教会の説教+ロックンロール」と評されるほど熱く、サムのファルセットとデイヴのバリトンが絡み合うツインボーカルは、まさにダブル・ダイナマイト。
観客は立ち上がり、ステージは汗と情熱の嵐だったと言います。
メガヒット連発──ソウル黄金期の象徴
彼らの代表曲は、いま聴いても圧倒的です。
• 「Hold On, I’m Comin’」(1966)
ブッカーT.ジョーンズとアイザック・ヘイズの黄金コンビ作曲。イントロから爆発するホーン、力強い掛け合い、そしてタイトルどおり“待ってろ、すぐ行くから!”の魂のメッセージ。
この曲でSam & Daveは一気にスターダムへ。
• 「Soul Man」(1967)
モータウンではなくStaxの看板曲となった名曲。黒人公民権運動の時代に“俺はソウルマンだ”と歌う姿は、誇りそのもの。
この1曲でソウルという言葉が世界に定着したと言っても過言ではありません。
• 「I Thank You」(1968)
サムのシャウトとデイヴの深いハーモニー、そしてどこか感謝の気持ちを込めたこの曲は、後にZZ Topもカバーするなど、世代を超えて愛されています。
コンビの裏側──仲良しではなかった
実はサムとデイヴ、プライベートでは犬猿の仲だったのは有名な話。
ステージを降りると口もきかない時期が長く続き、それでもステージに立てば見事な一体感を見せる──この「プロフェッショナルの矜持」こそが、Sam & Daveを伝説にしたのかもしれません。
サムはのちに「彼とは兄弟みたいなもんさ。ただ、兄弟ってケンカもするだろ?」と語っています。
音楽があったからこそ、彼らは最後まで“魂の兄弟”でいられたのです。
その後のサム・ムーア
1970年にデュオが解散した後も、サム・ムーアはソロ活動を継続。
1980年代には映画『ブルース・ブラザーズ』で彼らの名曲が再び脚光を浴び、Sam & Daveの魂が再燃します。
2006年にはアルバム『Overnight Sensational』を発表し、ブルース・スプリングスティーン、ボニー・レイット、スティングら超豪華ゲストと共演──70歳を超えてなお現役バリバリ。まさに“ソウルマン”の生き様そのものでした。
コヨーテの締めくくり
Sam & Daveは、いわば「魂のデュエット」。
派手なビートでも、テクニカルなボーカルでもなく、互いを信じてぶつけ合った熱量が全てでした。

