ジャニス・ジョプリン──燃え尽きた魂の歌姫

魂を燃やす歌6選

1. 「Piece of My Heart」


アルバム Cheap Thrills(1968, Big Brother & the Holding Company)より。
ロック史を塗り替えた代表曲。絶叫とため息が入り混じる歌声は、単なる「カバー」の枠を超え、ジャニス自身の生の断片となった。

2. 「Summertime」


同じく Cheap Thrills より。
ガーシュウィンの子守歌を、ブルースの慟哭に変えてしまった。繊細さと荒々しさが同居する歌声は、ジャニスがいかに“曲を自分の物語”に変えるかを示す好例だ。

3. 「Try (Just a Little Bit Harder)」


アルバム I Got Dem Ol’ Kozmic Blues Again Mama!(1969)より。
ブラス・セクションを背に、全力で「もう少し頑張って!」と叫ぶ。明るさに見せかけて、必死さと痛みがにじむところがジャニスらしい。

4. 「Move Over」


アルバム Pearl(1971, 遺作)より。
オープニングを飾る疾走感あふれるナンバー。愛に振り回される女性の苛立ちを、噛みつくようなシャウトで歌い切る。生き急ぐ彼女のエネルギーがそのまま詰め込まれていて、「これぞジャニス」と言える名曲。

5. 「Me and Bobby McGee」


同じく Pearl より。
カントリー調のバラード。軽やかな始まりから一気に声が天に昇っていく瞬間は、聴く者を圧倒する。リリースは死後、全米1位を記録。

6. 「Mercedes Benz」


同じく Pearl より。
スタジオでの一発録り。神様に「ベンツをちょうだい」と皮肉混じりに歌うアカペラ。笑えるようでいて、虚無と孤独がにじみ出る。彼女の最後の録音とされることも多い。

コヨーテの締めくくり


ジャニス・ジョプリンの歌は、きれいごととは無縁だ。叫びも涙も笑いも、全部さらけ出している。その“むき出しの魂”こそがロックの真髄であり、彼女が永遠に語り継がれる理由だろう。

彼女の声はいまも、聴く者に「もっと自分を燃やせ」と迫ってくる。

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