8月20日、レッド・ツェッペリンのフロントマン、ロバート・プラントが77歳の誕生日を迎えた。あの黄金のカーリーヘアーと高らかな歌声で世界中を魅了した男も、もう77歳か。時の流れを感じずにはいられない。

唯一無二のバンド、レッド・ツェッペリン
レッド・ツェッペリンが特別だったのは、4人それぞれが持つ才能が化学反応を起こしたからだ。ジョン・ボーナムの雷鳴のようなドラム、ジミー・ペイジの魔術的なギター、ジョン・ポール・ジョーンズの多彩なベースライン、そしてプラントの唯一無二のボーカル。
特にボンゾとジョンジーのリズム隊が作り出すグルーヴは他の追随を許さない。そこにペイジの神秘性とプラントの大衆性が加わることで、ハードロックでありながら幅広い層に愛される音楽が生まれた。
プラントの魅力が炸裂する4曲
1. Black Dog
オープニングから圧倒的な存在感を放つプラント。複雑なリズムパターンの中で歌うボーカルは、まさに楽器の一部として機能している。彼の声の力強さと表現力がフルに発揮された代表曲だ。
2. Kashmir
8分を超える大作で、プラントの歌声が異国情緒あふれるサウンドスケープを彩る。低音から高音まで自在に操る歌唱力と、神秘的な歌詞の世界観が見事に融合した傑作。
3. Going to California
アコースティックギターをバックに歌うプラントの優しい一面が光る楽曲。普段のパワフルな歌声とは対照的な、繊細で美しいボーカルが印象的。彼の表現力の幅広さを物語る一曲。
4. Immigrant Song
短時間で強烈なインパクトを残すロック・アンセム。プラントの高音シャウトが炸裂し、バイキングの雄叫びのような歌声が聴く者の心を鷲掴みにする。
今も輝き続ける伝説
ボンゾ亡き後の完全再結成は叶わないままだが、息子ジェイソン・ボーナムを迎えた再結成の可能性も、プラント自身が消極的な姿勢を示している。彼にとってツェッペリンはあの4人でこそ完結した存在なのだろう。
プラントは今もなお現役として活動を続けている。近年はアリソン・クラウスとのコラボアルバム『Raise the Roof』(2021年)をリリースし、アメリカーナやブルーグラスの世界でも高い評価を得た。ソロキャリアでは、ブルースやフォークなど様々なジャンルに挑戦し、常に新しい音楽を模索している姿勢は、まさにアーティスト魂の表れだろう。
77歳になったロバート・プラント。あの日々から半世紀が過ぎても、彼の歌声が持つ魔力は色褪せることがない。これからも「ゴールデン・ゴッド」として、私たちの心に響き続けることだろう。