11/11はアンディ・パートリッジ(XTC)の誕生日

裏ビートル、偏屈な天才の「ひねくれポップ」。


XTCの中核にして、奇妙にねじれたメロディラインと、毒のあるユーモアを持つ男。
同じXTCでもコリン・モールディングが「物静かな抒情担当」なら、アンディは「皮肉と風刺と、でもどこか可愛い」担当。


ライブでパニック発作を起こして「もう無理」と言った結果、XTCはライブ活動を完全に停止。
プロデューサーのトッド・ラングレンとも制作中に大ゲンカ。
普通ならバンド崩壊案件だけど、アンディは「ひねくれ」をそのまま作品に昇華してしまった。

そして何より、彼の書く曲は「80年代のダサさ」から綺麗に逃げ切っている。
今聴いても古びない。むしろ「こんな形のポップ、今あったら逆に新しい」。

English Settlement(1982)

優しさと皮肉が同居してしまう怪物アルバム。

●「Senses Working Overtime」
アンディ節の代名詞。
生活にすり減っていく感覚を、跳ねるポップに乗せるセンス。
ひねくれと優しさが同時に来る、あの不可思議な快感。

●「No Thugs in Our House」
社会風刺ソングだけど、説教臭くならない。
怒ってるのに軽やか、冷笑してるのにどこか人間的。
これがアンディの「品の悪い品の良さ」。

Mummer(1983)

外界から引きこもったあとの「内向きポップ」。

●「Love on a Farmboy’s Wages」
素朴なテーマを扱っているのに、展開はひねくれまくり。
「農場の生活を歌いたい。けど、普通には歌わない。」
アンディの美しい面倒くささがすべて凝縮されている。

●「Funk Pop a Roll」
アンディの「音楽業界あるある皮肉ソング」の最高峰。
商業主義に毒づきながら、歌自体は最高にキャッチーという矛盾。
噛みつきながら笑っている感じが本当にアンディ。

Skylarking(1986)

トッド・ラングレンと大喧嘩して生まれた統一感のある奇跡盤。

●「Earn Enough for Us」
働いて、なんとか家族を食わせる話。
一歩間違えば暗いテーマなのに、こんなにも軽快で愛嬌がある。
ポール・マッカートニーをさらに神経質にひねったような感触。

● That’s Really Super, Supergirl
明るいのに、負けてる。ポップなのに、劣等感まみれ。
アンディが「自分の弱いところ」を笑いながら差し出すとき、いちばん魅力が出る。

Oranges & Lemons(1989)

色彩の洪水。アンディ節が最も「派手」に咲いた1枚。

●「Mayor of Simpleton」
自虐系ポップの完成形。
「頭は良くないけど、君を愛してる」
これをこんなに楽しく歌える奴は世界に一人。

●「Here Comes President Kill Again」
政治風刺がポップに走り回る曲。
怒ってるのにニコニコしてる感じがアンディの真骨頂。

ひねくれ天才の小話

・ライブ恐怖症でバンドが「スタジオ専業バンド」へ転向
→ 逆に音楽がさらに奥へ深く行った。

・トッド・ラングレンとの大喧嘩
→ でもSkylarkingは歴史に残った。皮肉の極み。

・「裏ビートル」と呼ばれる理由
→ メロディは美しいのに、真っ直ぐ届かない。
 大衆ポップを一度ひねって返す職人芸。

まとめ

アンディ・パートリッジは、ただの変わり者ではない。
皮肉と優しさが隣同士に座っている、不思議な作曲家だ。

気付いたらクセになってる。
それがアンディのポップ。

「ひねくれは、人生の調味料」
今日はその味を噛み締める日。