TACOと物価高の年──“引っ込むトランプ”と動かないインフレ、2025年の経済を数字で振り返る

はじめに

今年も残り2ヶ月。
“トランプ関税”の衝撃に、「TACO(Trump Always Chickens Out=言うだけ言ってすぐ引っ込む)」騒ぎ。
日銀は利上げとETF売却を発表し、ウクライナとガザの紛争は長期化。
令和の“米騒動”とも呼べる物価高が続き、政治では自民党が大敗、石破さんが降ろされ、新しい連立体制が発足。
そして新首相の人気が想定以上にうなぎ登り──。
そんな激動の2025年を、数字で振り返ってみたい。

年初と直近期の主要指標(ざっくり比較)

• 日経平均株価:年初 約4万円 → 直近 約5万円(+25%)。新政権と円安が後押し。
• 日本10年金利:1.3%台 → 1.6%台へ上昇。利上げで債券価格は下落傾向。
• 米10年金利:約4.0% → 約4.6%。高金利長期化がドル高要因に。
• ドル円相場:142円前後 → 154円台。円安継続、輸出企業には追い風。
• 消費者物価指数(CPI):+3.4% → +3.1%。高止まり、実質賃金は依然マイナス圏。
• 失業率:2.5%前後で横ばい。雇用は底堅いが賃金上昇は限定的。
• 有効求人倍率:1.27 → 1.20前後へ微低下。企業の採用意欲にブレーキ。
• S&P500(米株):約4,800 → 約6,000(+25%)。AI・再エネ関連が牽引。
• 金(ゴールド):2,050ドル → 2,400ドル(+15〜20%)。地政学リスクで買い増し。
• 米(コメ)価格:1俵 約6,000円 → 約7,500円(+25%)。まさに“令和の米騒動”。

──「株高・円安・物価高・実質賃金停滞」。
数字が語るのは、そんな一枚の経済地図だ。

経済の現状

見かけは好景気、実態は“コストプッシュ型インフレ”。
日銀の利上げは正常化の一歩だが、企業や家計の資金負担は重い。
それでも株が上がるのは、新政権の景気期待と円安マジック。

アメリカは高金利を維持し、世界の資金を吸い寄せる。
その裏で、トランプは再び“言うだけ番長”ぶりを発揮。
TACO──Trump Always Chickens Out。
口先で市場を揺らし、最後は引っ込む。
そんな茶番が、世界経済を今日も踊らせている。

来年(2026年)に向けた3つのシナリオ

シナリオA:熱狂持続型

新政権の政策が功を奏し、企業収益と株価がさらに上昇。
円安・物価安定・賃金上昇が並び立つ理想形。
→ 対応策: 株式比率をやや増やす。半導体・内需・インフラ関連に注目。
ただし“熱狂の末の冷却”を忘れず、利確タイミングを見極めたい。

シナリオB:高温安定型

物価高と円安が共存。消費は底堅く、景気は「悪くも良くもない」。
→ 対応策: 高配当・インカム重視。金・短期債・現金をミックスして機動性を確保。
“温泉経済”と割り切るのが賢明。

シナリオC:冷却型

利上げ疲れと景気減速。株価反落、円高反転。
→ 対応策: 防御重視。リスク資産を絞り、金・短期債・生活防衛資金を厚めに。

まとめ

2025年は、熱狂と混乱が共存した年だった。
株は沸騰し、物価は冷めず、トランプはまた世界をかき回した。
来年に必要なのは、“踊りながら足元を見る”冷静さ。
熱狂に乗るのはいい。
ただし踊りすぎたら、ステージが抜ける。

2026年、経済はまた曲がり角。
笑っていられるのは、踊り方を知っている者だ

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