山本由伸、伝説のステージへ──ドジャース連覇とシリーズMVP

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ワールドシリーズが終わった。
ロサンゼルス・ドジャースが連覇を達成。
そして、シリーズMVPの名がコールされた。
「ヨシノブ・ヤマモト!」
日本から来た27歳の右腕が、MLBの頂点で笑っていた。

序章:すごかった、ほんとに。


最終戦。大谷翔平が先発。3ランを浴び、序盤はいやな流れ。
しかし、ドジャースは追いつき、延長戦。
10回表、ウイル・スミスの一発で逆転。
そして、その裏を締めたのが、山本由伸だった。

第6戦に続く連投。
疲労もピークのはずなのに、9回から延長までの3イニングを完璧に抑える。
シリーズ3勝目。第2戦で完投勝利、第6戦で勝ち投手、そして第7戦でフィナーレを締めた。
――こんな投手、ちょっと見たことがない。

経歴:岡山・備前の少年が見た夢

1998年、岡山県備前市生まれ。
野球を始めたのは小学生の頃。高校は宮崎の都城。
いわゆる「名門」ではない。どちらかというと、目立たない存在だった。

2016年ドラフト4位でオリックス・バファローズに入団。
最初は小柄な右腕として注目度も低かった。
でも、そこからが彼の真骨頂。フォームを磨き、球速を上げ、
独自のスプリットを武器に、エースの座をつかんでいった。

オリックス時代:3年連続投手三冠という異常値

山本の日本時代は、もはや“伝説の予告編”だった。
• 2021〜2023年:3年連続で投手三冠(勝利、防御率、奪三振)
• 同時に沢村賞3回、MVP3回
• 通算防御率1.82、70勝29敗

この数字は、ただの安定感じゃない。
「淡々と勝ち続ける」というストイックの極地。
登板間隔もメニューも一切ブレない。
山本は“メトロノームのようなピッチャー”だった。

オリックスが3年連続日本シリーズ進出を果たしたのも、彼の存在抜きでは語れない。

渡米:3億ドルの契約と、静かな闘志

2023年オフ、ポスティングでドジャースへ。
契約総額12年3億2500万ドル。日本人投手としては史上最高額。
でも本人は飄々としていた。

「金額じゃなくて、どこでどれだけ勝てるか。」

その言葉通り、1年目からしっかり結果を残す。
奪三振率も高く、四球も少ない。
何より、試合のテンポがいい。
見ていて気持ちがいいタイプの投球だ。

ワールドシリーズ2025:冷静と情熱の3勝

• 第2戦:完投勝利
 9回被安打4、無四球、1失点。メジャーでの完投は今や絶滅危惧種。
 静かに、無駄のない投球で相手をねじ伏せた。
• 第6戦:6回2失点で勝ち投手
 チームに王手をかける貴重な勝利。
 「試合を壊さない」ことが彼の哲学。
• 第7戦:第6戦からの連投で3イニングを無失点
 疲れ切った腕で、再びマウンドへ。
 それでもブルージェイズ打線を完全に封じ、最後の勝利をつかんだ。

その結果、シリーズ3勝・MVP受賞。
彼は“ワールドシリーズを制した男”になった。

山本由伸のすごさを分解すると

1. リズムが良すぎる

 間合い、呼吸、投球動作のテンポが絶妙。
 観ている側が気持ちよくなる。
 野球というより“音楽的”な投球。

2. ピンチで崩れない

 ピッチングのテーマは「波を少なくする」。
 感情を出さず、いつも同じ顔。
 それが逆に、相手打者には“絶望”になる。

3. 変化球の組み立てが芸術

 スプリット、カーブ、カッター、フォーシーム。
 全部が「主役級」。
 1試合の中でリズムと旋律を変えてくる。

4. そして人間味

 インタビューでは時々、照れ笑い。
 通訳の後ろで「ニヤッ」とするお茶目さもある。
 それがまた、憎めない。

音楽と投球の共通点

山本のピッチングを見ていると、リズムと間が完璧で、
まるでブルースギタリストが一音で客席を黙らせる瞬間に似ている。

彼のストレートはロックのリフ。
スプリットはジャズのアドリブ。
試合終盤の投球はクラシックの終章のように静かで美しい。

そして最後に、キャッチャーとグラブを合わせる仕草。
あれが「乾杯」の瞬間に見えて仕方ない。

伝説の夜に乾杯

日本人として、野球ファンとして、そして一人の“音楽と酒を愛する人間”として、
この夜を見逃さなかったことを誇りに思う。

ドジャースが世界一。
大谷が二刀流で輝き、
山本由伸が最後を締めた。

――これが、2025年の野球だ。

あなたの印象に残った瞬間は?

あなたはどの試合の山本由伸がいちばん印象に残っていますか?
コメント欄で教えてもらえると嬉しいです。

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