11/8は リッキー・リー・ジョーンズの誕生日。
1954年生まれ。LA、ニューヨーク、ニューオーリンズ…流しのミュージシャンのように人生を漂ってきたタイプ。
生い立ちはハードだったし、キャリアの山と谷の振れ幅がエグい。でも、それがそのまま歌に出る。声に「生活の匂い」がある人。
デビュー当時の彼女は、ジャズとフォークとスウィングを混ぜ、踊るように歌い、時に囁き、時に放り投げる。
“語り歌い”という点ではジョニ・ミッチェルと近いが、リッキーの方がもっと「夜の匂い」「バーの灰皿」「少し焦げたウイスキーの香り」みたいな湿り気がある。
逸話いろいろ
・トム・ウェイツと恋人関係だった時期がある。
この2人の組み合わせ、想像しただけで煙草の煙が立ちこめる。
ウェイツの曲世界に、リッキーは自分の「生身」を持ち込んだ。
そして別れた後、ウェイツはさらに泥っぽい方向へ行き、リッキーは自分の世界を深めていった。
・デビュー当時、大型TV番組で「Chuck E.’s in Love」を歌って一気にスターに。
ただ、彼女は「売れたから嬉しい」ってタイプじゃない。
「理解されない人気ならいらない」という非常に筋の通ったアーティスト気質。
・ジョニ・ミッチェルと比較され続けたことは、本人にとっては不本意。
「私は私」
ほんとにそういう人。
影響を受けた人・与えた人
受けた側
・ジャズヴォーカル(ビリーホリデイ、サラヴォーン)
・ビートニク/文学(ギンズバーグ、ケルアック)
・R&B、ソウル、ブルース全般
与えた側
・ノラ・ジョーンズ
・フィオナ・アップル
・エイミー・マン
・レジーナ・スペクター
要は「都会の夜の歌い方」「弱さを隠さない語り歌い」をやる人にはだいたいリッキーの影がある。
おすすめアルバム3枚(+曲紹介)
① 『Rickie Lee Jones』(1979)
デビュー作にして名盤。
完全に時代を変えた。
都会の雑踏と、恋の光と影がそのまま音になってる。
・「Chuck E.’s in Love」
軽やかでかわいい。これで一躍スターに。
・「On Saturday Afternoons in 1963」
ノスタルジーが胸に刺さる。リッキーの本質はこちら。
・「Company」
静かに心を削っていく名曲。
② 『Pirates』(1981)
恋と喪失、光と影、再生。
トム・ウェイツとの破局期に作られたアルバムで、こっちが本当の傑作だと言う人も多い。
声の「揺れ」がとにかく美しい。
・「We Belong Together」
夜、灯りを落として聴くべき。
・「Living It Up」
傷はまだ癒えてないけど、生きてる。そう思わせる歌。
・「Pirates (So Long Lonely Avenue)」
ジャズとシアトリカルが混ざる、「リッキーにしかない場所」。
③ 『Flying Cowboys』(1989)
成熟期。
恐れずにポップへ寄せたけど、芯は全くぶれない。
プロデュースはウォルター・ベッカー(スティーリー・ダン)。
この組み合わせは最高以外ない。
・「Satellites」
夜景の上を滑るような曲。
・「The Horses」
人生に疲れた日に聴いてほしい。救いの曲。
・「Flying Cowboys」
タイトル曲。柔らかくて、でも強い。
まとめ
リッキー・リー・ジョーンズは「綺麗に整えられた感情」ではなく
「生きたままの感情」を歌う人。
完璧に歌わない。
でも、それが逆に「本物」なんだよね。
ジョニ・ミッチェルが「青い湖」なら
リッキー・リー・ジョーンズは「夜中の裏通りに落ちている金色のガラス片」。
派手じゃないけど、光る君。

