
11/12はニール・ヤングの誕生日
ニール・ヤングは「面倒くさいおやじ」という印象がつきまとう。
優しい人柄とか、愛されキャラとか、そういう領域とは正反対。
思ったことをそのまま言い、やりたい音楽を突然変える。
フォークをやっていたかと思えば、ノイズやグランジに突っ込んでいくし、CSN&Yに合流したかと思えば一番存在感を持っていってしまう。
ただ、それが全部「嘘のない音」なんだと思う。
ニールには「こうした方が売れる」とか「ファンが求めているから」とか、そういう思考がまったくない。
だからこそ、いつ聴いても生々しいし、飾らずに心に刺さる。
今回は、ニール・ヤングを聴き始める人にも、昔から好きな人にも入っていけるように
「アルバムベスト5+その中のおすすめ曲」
という形で紹介していく。
順位は5位から。
最後に辿り着くのは、やっぱりあのアルバム。
5位:CSN&Y『Déjà Vu』(1970)
CSNに「Y」が入った瞬間、バンドに電流が走った。
優しいハーモニーに、ニールの陰と張り詰めた感情が混ざり合う。
仲良しフォークで終わっていたかもしれない世界に、緊張と深さを持ち込んだのがニールだ。
おすすめ曲
- Helpless ─ カナダの風景と孤独をまっすぐ射抜く代表曲。
- Country Girl ─ 組曲構成で陰影の深さが段違い。
4位:『Sleeps with Angels』(1994)
カート・コバーンの死と向き合ったアルバム。
声を荒げるでもなく、説教臭くもなく、ただ静かに深い悲しみが沈んでいる。く。
おすすめ曲
- Sleeps with Angels ─ タイトル曲。鎮魂と反骨が同居する。
- Trans Am ─ 鋼のリフと薄闇のストーリーテリング。
- Piece of Crap ─ 皮肉まみれのショート・パンチ。ライブで化ける。
- My Heart ─ 気持ちを丸ごと置いてあるだけの曲。作り込まれていない強さ。
3位:『Harvest』(1972)
全米1位を取ったのに、媚びていないアルバム。
アメリカの田舎の、薄曇りの午後みたいな空気。
明るさと寂しさが同居している名作。
おすすめ曲
- Heart of Gold ─ 不朽のメロディ。まずはここから。
- Old Man ─ 若さと老いの距離感を、たった数分で更新。
- The Needle and the Damage Done ─ 生々しい告発が届く弾き語り。
- Alabama ─ 切っ先の鋭い一撃。議論を呼ぶ問題作でもある。
2位:『Harvest Moon』(1992)
「Harvest」から20年後。
同じ季節に帰ってきた人の視線と温度がある。
丸くなったわけじゃない。けれど、余計な力が抜けている。
おすすめ曲
- Harvest Moon ─ ダンスに誘う低声。月明かりの名バラード。
- Unknown Legend ─ 荒野の景色と女性像が一枚で立ち上がる。
- From Hank to Hendrix ─ 人生の折り返しで鳴るリアル。
1位:『After the Gold Rush』(1970)
フォークとロックと夢と泥が同じ場所にいる。
ニール自身がそのまま記録されている決定盤。
これが刺さらなかったら、ニールは合わない。それでいい。
おすすめ曲
- After the Gold Rush ─ ピアノとハーモニカ、反復の魔法。
- Only Love Can Break Your Heart ─ 痛みを普遍に変える作法の教科書。
- Southern Man ─ 切れ味鋭い批評性。ここでニールは「立場」を明確にする。
- Don’t Let It Bring You Down ─ 夜道の灯りみたいな救い。
どこから聴く?
- まずは「After the Gold Rush」→「Harvest」で骨格を掴む。
- 夜に合うのは「Harvest Moon」。小音量でOK、余白が効く。
- ラフさと気迫を味わいたいなら「Sleeps with Angels」へ。
- グループの文脈ごと押さえたい人は「Déjà Vu」でCSN&Y側面を補完。
おわりに
ニール・ヤングは「変わった」んじゃない。
最初から「揺れ続ける魂」だっただけ。
ジャンルを渡り歩こうが、政治に踏み込もうが、孤独を歌おうが、
全部同じひとりの人間の別の面。
だから、どの時代からでも入れる。
でも、できれば今日の順番で聴いてみてほしい。
ニールという人間が、少しずつ軟化したり、固まったり、また揺れたりしていくのが見える。
アコースティックな曲ばかりになったので、締めはこれで。。

