さようなら、渋谷陽一さん

2025年7月22日、ロッキング・オン・グループから、代表取締役会長 渋谷陽一氏が7月14日に74歳で逝去されたという訃報が届きました。渋谷さんは、私にとって音楽、とりわけロックへの扉を開いてくれた宣教師でした。

rockin’onとサウンド・ストリートは、私にとってのバイブルでした。

1972年に渋谷さんが20歳で創刊した「rockin’on」、そして1970年代からNHK-FMで続けた「サウンドストリート」。毎月欠かさず買ったrockin’on片手に、夜な夜なラジオの前に座って「今週の推しはなんだ?」と耳を傾けていました。渋谷さんといえば、ツェッペリン、キングクリムゾン、チーズトリックなど。ソウル・ファンクではEW&F、プリンス。ニューウェーブ・ポストパンクでXTC、ザ・ジャム、スタイル・カウンシルなど。邦楽では同学年の忌野清志郎率いるRCサクセションを積極的に推し、ライブを高く評価していました。エレファントカシマシの宮本浩次もデビュー当初から支援し続けた一人です。今回の訃報にも宮本さんがSNSで追悼の言葉を寄せています。渋谷さんが紹介するアーティストはほとんど聴きました。彼の単なる音楽の紹介ではなく、ロックというカルチャーを伝える熱いメッセージが、私を夢中にさせました。

19歳からの半世紀を超える軌跡

1951年6月9日生まれの渋谷さんは、19歳でミュージックライフ誌にてデビュー。50年以上にわたってラジオDJを務め、テレビ番組の構成、そして2000年からは「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の総合プロデューサーとして、日本の音楽シーンを牽引し続けました。

松村雄策さんとの再会

渋谷さんの盟友だった音楽評論家の松村雄策さんは2016年に他界されました。お二人の対談「渋松対談」は、時に辛辣で、時にユーモラスな音楽談義で、私は毎週楽しみにしておりました。今頃あの世で、また熱いボケとツッコミの音楽談義を交わしていることでしょう。

2023年から続いた闘病

報道によると、渋谷さんは2023年11月に脳出血を発症し、緊急入院。その後リハビリを続けていましたが、今年に入って誤嚥性肺炎を併発されていたそうです。渋谷陽一さん、あなたが「ロックは生き方だ」と語った言葉は、今も私の胸に深く刻まれています。あなたからロックの素晴らしさ、音楽の持つ力、そして文化として音楽を愛することの意味を教えていただきました。
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