
ブライアン・ウィルソン 前編 「ビーチ・ボーイズ結成から『Today!』まで」
6月20日は、孤高の天才、ブライアン・ウィルソンの誕生日。
ビーチ・ボーイズの頭脳であり、音楽的支柱。そしてウィルソン三兄弟の長男だ。
海、サーフィン、ホットロッド(車)をテーマに、キャッチーなメロディーと誰にも真似のできない美しいコーラスワークで、ビーチ・ボーイズはアメリカを代表するグループへと駆け上がっていった。
でも、そのまま「めでたし、めでたし」で終わらないのがブライアン・ウィルソンという人。
彼はそうやって音楽史に残る名盤を作りながら精神を病み、何十年もの沈黙を経験し、それでも再び音楽の世界へ帰ってきた。
こんなにもドラマチックな人生を送ったミュージシャンはそう多くない。
今回は、その長い物語を三回に分けて振り返ってみたい。
前編はデビューから『The Beach Boys Today!』までの「栄光と迷い」。
中編は『Pet Sounds』から長い闘病の日々。
後編はソロ活動以降の「復活と成熟」。
まずは、すべてが始まった頃のブライアンを追いかけてみよう。
音楽好き少年が世界を変えるまで
1942年、カリフォルニア生まれ。
幼い頃から音楽の才能を見せていたが、その一方で父マリー・ウィルソンは支配的で暴力的だったと言われている。
ブライアンの後年まで続く心の傷は、この頃すでに始まっていた。
高校時代になると弟のデニス、カール、従兄弟のマイク・ラヴ、友人のアル・ジャーディンと演奏を始める。
唯一サーフィン経験者だったデニスが「サーフィンの歌を書こう」と提案したことが、ビーチ・ボーイズ誕生のきっかけだった。
皮肉なことに、ブライアン本人はサーフィンがほとんどできなかったと言われている。
それでも彼は、頭の中で理想のカリフォルニアを音楽として描き上げた。
これが世界中の若者を魅了することになる。
Surfer Girl
- Surfer Girl\
シンプルだからこそメロディーの美しさが際立つ名バラード。ブライアンのソングライターとしての才能がよく分かる。 - In My Room\
思春期の孤独や不安を静かに歌う名曲。後年の彼の人生を知ると、胸に刺さる一曲だ。
Shut Down Volume 2
- Fun, Fun, Fun\
ビーチ・ボーイズらしい爽快な代表曲。聴くだけで夏の景色が浮かぶ。 - Don’t Worry Baby\
フィル・スペクターへの憧れから生まれた名曲。切なさと美しいハーモニーは初期最高峰。
All Summer Long
- I Get Around\
全米No.1ヒット。勢いだけではない緻密なアレンジも魅力。 - Wendy\
地味ながらメロディーの美しさが光る隠れた名曲。『Pet
Sounds』への予兆を感じる。
The Beach Boys Today!
- She Knows Me Too Well\
青春ポップの枠を超えた繊細な心理描写。ブライアンの成熟を感じさせる。
- Please Let Me Wonder\
美しいコード進行と幻想的な空気。『Pet Sounds』への入口となる一曲。
次回はいよいよ『Pet Sounds』
この後、ブライアンはビートルズの『Rubber
Soul』に衝撃を受け、「世界一のアルバムを作る」と決意する。
その答えが『Pet Sounds』だった。
