ポール・ウェラー〜「カッコつけ」がそのまま生き様になった男

5/25は我らがモッズ・ヒーロー、Paul Weller の誕生日。

ザ・ジャム、スタイル・カウンシル、そしてソロ。
普通これだけ長くやると、どこかで「懐メロ営業」になる。でもウェラーは違った。ずっと変わり続けた。しかも「変わること」がカッコよかった。

偉そうじゃない。
媚びない。
でも頑固。

インタビューでは不機嫌そうなのに、たまに意味不明なくらい茶目っ気があるのもズルい。

ザ・ジャム絶頂期に突然解散した時は、英国中の若者が「なんで!?」となったが、本人は「同じこと繰り返すのが嫌だった」。そのままジャズとソウルに突っ込んでスタイル・カウンシルへ。ファン置いてけぼり。だがそこがウェラー。  

あと笑うのが、スタカン時代のPV。
やたらヨーロッパの伊達男気取りなのに、どこか学園祭感がある。本人たちは大真面目なのかギャグなのか境界線が曖昧。そこがまた愛おしい。  

では、「コヨーテ版・ポール・ウェラー入門」。

ザ・ジャム期

『Sound Affects』


パンクを卒業し始めたジャム。
でも知性が入っても熱は消えてない。

おすすめ曲は「That’s Entertainment」。

退屈な日常を歌ってるだけなのに、異様に切ない。
ビールの匂い、薄暗い団地、閉塞感。
英国の曇り空まで見えてくる。

あと「Start!」のベースライン。
あれ聴くと、「ウェラーは結局かなりポップ狂なんだな」とわかる。

『The Gift』


ジャム最終作。

ファンクやソウルが入り始めていて、もう完全に「次」に向かってる。
ファンはパンクを求めてるのに、本人は黒人音楽に夢中。

おすすめは「Town Called Malice」。

疾走感の裏にある生活臭と焦燥感。
モータウンをパンクで走らせたみたいな曲。

あと「Precious」も最高。
この頃のウェラー、ギターがカミソリみたい。

スタイル・カウンシル期

『Café Bleu』


「え、同じ人?」となる転換作。

ジャズ、ボサノヴァ、ソウル、ヨーロッパ趣味。
急にカフェ文化へ走る。

でも、これが妙にハマる。

おすすめは「My Ever Changing Moods」。

タイトルからしてウェラーそのもの。
気分屋で、頑固で、ロマンチスト。

あと「Headstart for Happiness」。
肩の力が抜けていて最高。

「俺たちは大人になったんだよ」と言いながら、実はかなり青臭い。そこがいい。  

『Our Favourite Shop』


スタカン最高傑作と言う人も多い。

政治色も強い。
サッチャー時代への怒りがかなり入ってる。

なのに音は軽やか。

おすすめは「Walls Come Tumbling Down!」。

理想主義丸出し。
青臭い。
でも、この人が歌うと妙に信じたくなる。

そして「Shout to the Top!」。
これはもうアンセム。

真面目すぎるのにカッコいい。
ウェラーしか成立しないバランス。  

ソロ期

『Wild Wood』


ソロ初期の傑作。

都会のモッド兄ちゃんが、急に森へ行く。
土臭い。
アコースティック。
でもちゃんとウェラー。

おすすめはタイトル曲「Wild Wood」。

秋の夕方に異常に合う。

あと「Sunflower」。
グルーヴがエグい。

『Stanley Road』


90年代、「ウェラー復活」を決定づけた名盤。

ブリットポップ勢から神様扱いされていた時代。
でも本人は相変わらず斜に構えてる。

おすすめは「The Changingman」。

タイトルが人生そのもの。
変わり続ける男。

あと「Broken Stones」。
酔って深夜に聴くと危険。

この頃のウェラーは、「若者の代弁者」を卒業して、「人生の苦味」を歌えるようになった。

『22 Dreams』


ベテランなのに実験精神が止まらない怪作。

普通このキャリアなら安全運転になる。
でもウェラーは「まだ面白いことやりたい」が勝つ。  

おすすめは「Echoes Round the Sun」。

枯れてるのにサイケ。
妙に浮遊感がある。

あと「Have You Made Up Your Mind」。
年齢重ねた男の色気がすごい。

最後に。


ポール・ウェラーって、「若作り」しないんだよね。

ちゃんと歳を取る。
でもダサくならない。

そこが本当にカッコいい。

だから「モッドファーザー」なんて呼ばれても、本人は多分ちょっと嫌そうな顔する。
でも内心、少しだけ嬉しそう。そんな気がする。