居場所のなさを歌に変えた男 ― モリッシーとThe Smithsの美しく面倒くさい世界

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5/22は、80年代よく聴いたバンドの一つ、The Smithsのスポークスマン、Morrisseyの誕生日。

以前、Johnny Marrを紹介したけれど、今度はその相棒側。

皮肉、ユーモア、孤独、ナルシシズム、社会への違和感。普通なら鼻につきそうなものを、あそこまで「様式美」に昇華できた人はなかなかいない。

バンドの尖ったメッセージ性と大衆性を併せ持った個性を発信していたモリッシー、緊張感あるサウンドで音楽面を支えていたマー。
この二人の危ういバランス感覚こそが、80年代ニューウェーブの中でもThe Smithsを特別な存在にしていた気がする。

「蝶のように舞い、ハチのように刺す」なんてボクシングの名言があるけれど、モリッシーの歌詞とステージングもまさにそれ。
軽やかに振る舞いながら、歌詞はけっこう容赦なく刺してくる。

ということで、今日は「モリッシー節」が炸裂しているThe Smithsおすすめ曲ベスト5。

① 「Heaven Knows I’m Miserable Now」

タイトルからしてひねくれている。
「天国だって俺が惨めなのは知ってる」。普通そんなこと歌わない。
でも、仕事帰りや人生うまくいってない時に聴くと、不思議と笑えてくる。
陰キャ文学をポップソングに変換した名曲。

② 「Hand in Glove」

初期Smithsを象徴する一曲。
「世間にどう思われようが、お前がいればいい」という内容なのに、爽やかな友情ソングにはならない。
どこか依存と孤独が滲んでいる。
この頃からもう、モリッシー節は完成していた。

③ 「What Difference Does It Make?」

タイトルの時点で、かなり投げやり。
「で、それが何?」という態度。
鋭く跳ねるマーのギターに乗せて、モリッシーの疑念と不信感が延々と続く。
ポップなのに神経質。このバンドらしさが凝縮されている。

④ 「Still Ill」

The Smithsの根っこにある「生きづらさ」が最も濃く出ている曲かもしれない。
若さ特有の苛立ち、不安、自意識。
なのに、ただ暗いだけでは終わらない。
「Under the iron bridge we kissed」という一節の美しさは、何十年経っても色褪せない。


⑤ 「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」

1分50秒ほどの短い曲。
でも、この短さだからこそ刺さる。
「たまには望むものを手に入れさせてくれよ」という切実さ。
大げさに叫ばないのに、やたら胸に残る。
歳を取るほど沁みるタイプの曲かもしれない。

The Smithsは、派手なハードロックでもないし、ダンスミュージックでもない。
でも、孤独とか劣等感とか、世の中への居心地の悪さを抱えたまま、それでも妙にユーモラスに生き延びる感覚がある。

だから40年経っても、今なお刺さる。

そして改めて思う。
ジョニー・マーのギターだけでも成立しないし、モリッシーのキャラクターだけでも成立しない。
この二人、仲は最悪になったけど、化学反応だけは本当に奇跡だった。